ここに陸終わり海始まる
何の本で読んだ言葉か忘れたが、ポルトガルを示す一節である。
ポルトガルというのはそもそも、ヨーロッパの中でも特殊な国だ。
多くの日本人にとって、名前は知っているがよく知らない国、程度の認識であろう。
ユーラシアの最西端、地中海に面さず、北大西洋を眺めるこの国は他のヨーロッパ諸国とはどこか違った文化を持つ。
例えば、ポルトガルはヨーロッパ一の米消費国であるとか、ヨーロッパには珍しく頻繁に蛸を食べるとか、どこか日本に近い風土を持つ国でもある。
これは元から近かったことに加えて、日本がポルトガルから大きく影響を受けていることにも端を発する。
種子島伝来以来、約500年近い交流のあるヨーロッパの国だ。無論、これは日本にとって最も交友の深く長いヨーロッパ国であることを示す。
天ぷらを始め、バッテラ、キャラメル、パン、金平糖、ボーロなんかはポルトガル、あるいはポルトガル語由来。天ぷらはそもそも九州の使節の勘違いが発端らしい。
ポルトガル料理は比較的あっさりしている。スープにはよく、青汁の材料として有名なケールが使われ、日本でいう棒鱈や蛸、コメを使い、魚と野菜メインで組み立てられる。
他の国に比べてバターなんかの消費量が少なく、違った趣きがある。
ヨーロッパでは一番来たかった国である。
しかし、日本からもマルタからも直行便はななく、労を要した。
それでも来ないわけには行かず、記念すべきヨーロッパ訪国10カ国目として、ここリスボンの土を踏んだ。
本当はポルトにも行きたかったのだが、時間や予算の関係で諦めた。無念極まりない。
明日からしばらくポルを推し続ける。